高金利外貨預金のカラクリ・南アランド事例
1. 高い金利が魅力の外貨預金
外貨に変えるだけでお金が増える、預金だから安全。そんな風に高金利外貨預金を思っていませんか?例えば南アランドの金利は、特別金利1ヶ月30%/年(通常1.9%/年)、定期1年2.35%(住信SBI銀行 2020/11/30時点)です。
円預金に比べると非常に魅力的な金利です。でも高金利外貨預金にはカラクリがあります。南アランドはなぜこんなに高金利なのでしょうか?
2. 過去10年間は5.9%/年の円高傾向
下のチャートは南アフリカランド/円の為替チャートです。過去10年間で年平均5.9%の円高傾向にあります。10年前に1ランド、11.8円だったものが、2020年11月現在は6.4円です。
つまり、10年前に100万円を南アフリカランドにした場合、約8.5万ランドになりました。
これが仮に年2.35%の金利がついたとすると、10年で約10.7万ランドになります。これを現在のレートで円に変えると約69万円です。
では何%金利がつくと、10年後の現在に100万円分のランドになるでしょうか。正解は6.1%です。大体、円高分と同じですね。
外貨預金では金利が高いからと言って、「円」が増えるとは限らないのです。
3. 南アフリカランド/円が円高の理由
理由はいくつもあると思いますが、大きな理由の一つとしてインフレ率の違いが挙げられます。
中央銀行である南アフリカ中銀は、インフレ目標を設定していて、消費者物価指数(CPI)上昇率を+3~6%に設定しています。
(南アフリカ)中銀はインフレ率が20年に平均3.4%、21年は平均4.3%になると予想。
https://jp.reuters.com/article/safrica-economy-rates-idJPKCN24O2BR
一方で、日本もインフレ目標を2%に設定していますが、ずっとデフレ状態を抜け出せません。
つまり、円の価値はほぼ変わらない状況で、南アランドは通貨としての価値が希薄化して行きます。
南アランドはどんどん価値が落ちていく通貨なのですから、金利を高くしないと、資金が調達できないわけです。
4. まとめ
今の時代、あまり高い金利の投資先というのは無くなってきました。高い金利には何かカラクリや理由があると思った方が良いです。金利の裏にあるリスクをしっかりと見据えて投資先を選んでいきましょう。