大井幸子が提唱している長期分散積立の投資手法、じぶんちポートフォリオには5つのルールがあります。最初になぜ、じぶんちポートフォリオができたのかをご紹介します。
じぶんちポートフォリオを作るきっかけになったのは、2012年の1月に日本経済新聞出版から大井幸子が出版した「正しいお金の守り方」という本です。この本では、欧米のファミリーオフィスが行ってきた資産保全の考え方を紹介していますが、読者の方からどこにいけばこの商品を買えるんですかと聞かれ、どこにもそんなサービスはなかったので、なんとかできないかなと考えたのが始まりです。
欧米のファミリーオフィスが行ってきた資産保全の考え方とは長期的な運用を前提として、リスクをコントロールし、安定的に資産を増やしていく考え方です。相関性の異なる商品同士を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを低減します。この考え方は欧米の富裕層の間では何十年も前から使われてきており、信頼性が非常に高いのですが、日本ではあまり広まっていません。
じぶんちポートフォリオが出来上がったのは2015年頃です。2012年頃は徐々にインターネット上で「インデックス投資」が認知され始めていた頃です。ようやく、国内市場にETFが80本程度になって、sbi証券でvanguardのETFが買えるようになって数年たった頃です。楽天証券でvanguardのETFが買えるようになったのは2015年です。
そして、2015年からの5年で個人投資家の投資環境は激変しました。売買手数料はネット証券を使いnisa枠で投資することでほぼ0になりましたし、投資信託の信託報酬の率も大きく下がりました。昔は3%/年を超えるものがゴロゴロしていましたが、今では1%以下のものが普通にあります。年間で5%〜6%程度のリターンを狙おうというのに3%も抜かれては全然増えません。
個人でじぶんちポートフォリオを実践するための環境がしっかり整ってきました。
じぶんちポートフォリオは5つのルールを元に作られています。
- 誰でも買える商品で構成されていること
- 円で資産を増やせること
- 低手数料であること
- 分散されていること
- 株式の半分程度のリスクでリターンを最大化すること
これらを満たすために、じぶんちポートフォリオは全てindex連動型のETFか投資信託のみで構成されているので「インデックス投資」の仲間と言えます。
現在では様々な方々がインデックス投資を推奨されており、その手法を紹介する書籍も多くでています。それでも、じぶんちポートフォリオのように投資対象の異なるインデックスを組み合わせ、ポートフォリオとしてリスクをコントロールする手法を紹介しているものは多くありません。
多くの人が、何に投資するかと考える時、「良い商品」を探します。この時の良い商品とは大抵が「リターンが高い商品」です。しかし、ポートフォリオで運用する場合はただリターンが高いだけではダメなのです。もちろん良い商品選びも大切ですが、同じくらいその配分比率や買い方が重要です。
じぶんちポートフォリオの配分比率
米国株 30%、日本株10%、米国債券20%、日本債券 30%、金 10%
10万円を投資するとしたら、米国株3万円、日本株1万円、米国債券2万円、日本債券3万円、金1万円という具合です。この配分比率は年のリターンは5〜6%程度、株式のリスク18%に対してその半分程度の9%になるように調整されています。
商品にはそれぞれ役割があります。例えば金は利子を生まない投資対象なので、本来は持っているだけで資産は増えていきません。しかし、株式が暴落した時など、市場が危機状態の時には、逆に価格が上がります。ポートフォリオに10%程度入れることによって、ポートフォリオ全体のリスクを下げてくれます。