日本株インデックス・指数を比較してみたら、抜群に成績の良い指数見つかった
インデックス投資本がベストセラーになったり、つみたてNISAやiDeCoの口座開設が急上昇したり、インデックス投資の認知度も上がってきているのではないかと感じる今日この頃。
ちゃんと長期で日本株インデックスを見ている方は、日本株は増えないと思っていませんか?実際に過去約30年間で米国株式は15倍以上成長しているのに対して、日本株全体では-10%と成長していません。
でもちゃんと増えているインデックス(指数とも言う)もあるんです。今日は国内株式を対象とした様々なインデックスの成績をできる限り長期で比較したいと思います。
1. 日本の株式市場の種類と主要な日本株インデックス
インデックスとは市場全体の状況を把握するためのものです。ですので、市場ごとにインデックスがあります。日本には証券取引所が4つあり、そのうちの東京証券取引所の中には4つの市場があります。
A. 日本の株式市場一覧
- 東京証券取引所(東証)
- 第一部(東証一部)
- 第二部(東証二部)
- マザーズ
- JASDAQ(ジャスダック)
- 名古屋証券取引所(名証)
- 福岡証券取引所(福証)
- 札幌証券取引所(札証)
上場の基準は東証一部 > 東証二部 > マザーズ > ジャスダックの順番で厳しいため、東証一部には大企業が多く、マザーズやジャスダックには新興企業が多いです。
規模としては東証が最も大きく、ほとんどの日本株インデックスは東証の各市場を対象としたものです。よく聞くのは日経平均やTOPIXでしょうか。これは東証一部市場を対象としたインデックスです。
B. 日本の主要株式インデックス一覧
日本の株式市場と主要なインデックスをまとめると以下の図のようになります。
図で紹介したそれぞれのインデックスの詳細は以下の表の通りです。
インデックス名 | インデックスの説明 | 構成銘柄数 | |
---|---|---|---|
TOPIX トピックス (配当込み) | 東証1部に上場しているすべての銘柄が対象 | 2174 | 2020年9月末日時点 |
TOPIX Small | 東証1部に上場しているTOPIX 500(上位500社)と上場6か月未満の会社を除いた小型株で構成 | 1675 | 2020年10月30日時点 |
東証第二部株価指数 | 東証市場第二部に上場しているすべての内国普通株式全銘柄を対象 | 478 | 2020年3月31日時点 |
東証マザーズ指数 | 東証マザーズ市場に上場している内国普通株式全銘柄を対象 | 311 | 2020年3月31日時点 |
日経平均株価 | 東証1部に上場している銘柄から、日本を代表する225社で構成 | 225 | |
MSCI ジャパン | 日本株市場の約85%をカバーする日本に上場する大・中型株が対象 | 321 | 2018年4月末時点 |
JASDAQ | ジャスダックに上場しているすべて銘柄が対象 | 699 | 2020年3月31日時点 |
ラッセル野村 小型コア (配当込み) | 全上場銘柄の浮動株調整時価総額上位98%の銘柄のうち、浮動株調整時価総額下位約15%の銘柄から下位約5%の銘柄を除いたもの | 400 | 2019 年11 月時点 |
TOPIX、東証二部指数、東証マザーズ指数、J A S D A Q指数はそれぞれのマーケット全体の状況を反映するインデックスです。
日経225は東証一部上場企業のうちの225社を日経新聞社が選んだ指数です。日本を代表する企業として選ぶので大企業ばかりです。
TOPIX SmallはTOPIX500という東証一部上場企業のうち時価総額の上位500社を除いた企業のインデックスです。ですので、大企業が多い東証一部の中でも比較的小さい企業を対象としています。
MSCIジャパンインデックスは日本市場全体を対象としていますが、大型・中型株が対象のため、東証一部の企業が多く含まれます。
ラッセル野村小型コアインデックスはTOPIX Smallと同様に小型株を対象としています。しかし、TOPIX Smallが東証一部上場企業対象なのに対して、ラッセル野村小型コアインデックスはより小さな規模、かつ、日本の全市場を対象としています。必然的に東証二部やマザーズ、ジャスダックの企業も含まれます。
2. 日本株インデックスのパフォーマンス比較
それぞれのインデックスのパフォーマンスを、リターン・リスクの両面から比較していきます。2003年10月〜2020年9月まで約17年間のデータです。
※マザーズインデックスのみ配当を含まないリターンです。
指標名 | TOPIX | TOPIX Small | 東証第二部株価指数 | 東証マザーズ指数 | 日経平均株価 | MSCI ジャパン | JASDAQ | ラッセル野村 小型コア |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年初来リターン | -3.42% | -3.33% | -12.98% | 37.00% | -1.99% | -3.56% | -1.15% | -4.66% |
1ヶ月リターン | 1.30% | 5.54% | -2.17% | 9.37% | 0.20% | 0.91% | 3.30% | 3.78% |
3ヶ月リターン | 5.17% | 8.15% | -5.28% | 21.21% | 4.02% | 4.98% | 5.67% | 7.16% |
1年リターン | 4.87% | 7.74% | -1.82% | 40.42% | 6.57% | 5.08% | 11.88% | 4.78% |
3年リターン | 1.38% | 0.02% | -1.05% | 4.29% | 4.43% | 2.16% | 2.36% | -0.80% |
5年リターン | 5.24% | 6.71% | 8.36% | 10.33% | 5.92% | 5.17% | 10.07% | 5.57% |
10年リターン | 9.33% | 11.66% | 13.58% | 13.30% | 9.48% | 9.06% | 13.65% | 10.92% |
累積リターン | 124.49% | 249.66% | 298.34% | 3.34% | 129.54% | 123.97% | 155.71% | 187.88% |
標準偏差 | 17.48% | 17.36% | 18.14% | 38.37% | 18.59% | 17.72% | 19.85% | 17.26% |
シャープレシオ (LIBOR - 3 Mo. ) | 0.25 | 0.41 | 0.44 | -0.01 | 0.24 | 0.24 | 0.26 | 0.34 |
Max Drawdown | -56.23% | -54.98% | -64.47% | -88.65% | -58.27% | -57.25% | -68.98% | -57.62% |
年リターン | 4.90% | 7.68% | 8.51% | 0.19% | 5.03% | 4.88% | 5.71% | 6.45% |
まず注目なのは、リスクです。ほぼ全てのインデックスが18%前後のリスクとなっています。唯一、マザーズインデックスだけが38.37%と飛び抜けて高い数値になっています。また、ジャスダックインデックスはそれに次いで高い19.85%です。
17年間で最も成長したのは東証2部インデックスですね。累積リターンは298.34%となり、約3.5倍になっています。年リターンも8.51%と最も高くなっています。2番目はTOPIX Small、3番目はラッセル野村 小型コアです。小型株の方が、大型・中型株よりも成長性が高いのが分かります。
TOPIX(銘柄数 2174)、日経平均(銘柄数 225)、MSCIジャパン(銘柄数 321)は似たようなパフォーマンスです。日経平均やMSCIジャパンは大型・中型銘柄を対象としていて、銘柄数もTOPIXと比べると少ないです。それでも似たようなパフォーマンスとなるということは、TOPIXに占める大型・中型銘柄の影響が非常に大きいのが分かります。
B. 累積リターングラフ
このグラフは累積リターンの推移をグラフにしたものです。それぞれのインデックスがどのように増えていくかが分かります。ほぼ同様の波形を持っていますが、少しずつ違いますね。
2005年12月頃からジャスダックインデックスやマザーズインデックスは下がり始めています。2007年頃リーマンショックにより全ての指数が大きく下げ、2009年頃に底をうっています。その後、2013年頃からアベノミクスが始まり、各インデックスも上昇しています。
波形はどのインデックスもほぼ同じですし、リーマンショック時の下げ方もほぼ同程度でしたが、アベノミクス後の伸び方が違いますね。成熟した大型株よりも、中小型株の成長性が高いのが分かります。
しかし、中小型株ならなんでも良いわけではありません。例えば中小型株が多いマザーズ市場は流動性の低さや、上場銘柄の少なさ、上場基準の低さなどから良いパフォーマンスを示せていません。
3. 投資ができるインデックスは?
インデックスをそのまま買うことはできませんが、インデックスに連動するように設計された、投資信託やETFが多くあります。インデックスの構成比率をそっくり真似するわけです。こうした金融商品をインデックス連動型投資信託や、インデックス連動型ETFと言います。手数料(信託報酬などの経費)が低いものが多く、長期・分散・積立投資に向いています。
これまでの日本株インデックスの比較で、東証二部指数は成長性が高く、リスクも他の日本株インデックスと変わらないことが分かりました。しかし残念ながら、東証二部指数に連動する投資信託・ETFは存在しないんですね。
実際に購入できるインデックスとその商品を紹介します。
- TOPIX ・日経平均株価
- たくさんのETF、投資信託が販売されています。
- TOPIX Small
- iFreeNEXT 日本小型株インデックス[投資信託](https://www.daiwa-am.co.jp/ifree_series/next/small.html)
- 東証マザーズ指数
- ジャスダック指数
- JASDAQ-TOP20ETF(https://www.simplexasset.com/etf/etf1551.html)ジャスダック指数に連動するETFは存在しませんが、JASDAQ市場を代表する20銘柄の指数に連動するETFは存在します。大きく動きが異なるので、しっかり確認してください。
- MSCIジャパン
- iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239665/ishares-msci-japan-etf)
- ラッセル野村 小型コア
- NEXT FUNDS ラッセル野村小型コア・インデックス連動型上場投信[ETF](https://nextfunds.jp/lineup/1312/)
成長性の高い中・小型株に投資するにはiFreeNEXT 日本小型株インデックス[投資信託]やNEXT FUNDS ラッセル野村小型コア・インデックス連動型上場投信[ETF]が良さそうですね。
4. まとめ
日本株には今日ご紹介していないまだまだ様々なインデックスがあります。ご自身のポートフォリオに占める日本株にあう、成績の良いインデックス連動型商品を選びましょう。
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