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「NISA」と「つみたてNISA」の違いと選ぶ時の考え方

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1.どちらかしか選べない

NISAとつみたてNISAは個人の資産形成を後押しするため、金融庁が用意した制度です。この二つの制度は、どちらかしか選べない上、簡単に選んだ制度を変更することはできません。ですので、しっかりと考えた上で制度開始の手続きを進めましょう。

どちらが良いかは個人によって異なります。2つの制度の違いを踏まえた上で、選ぶ時の考え方について説明したいと思います。

それぞれの制度の詳細は以下のリンク先でご確認ください。リンクをクリックをすると別タブで開きます。

NISAの概要(金融庁)

つみたてNISAの概要(金融庁)

2.NISAとつみたてNISAの違い

A. 投資資金

NISAの非課税枠は年120万円が5年間で総額600万円、つみたてNISAの非課税枠は年40万円が20年間で総額800万円です。NISAは5年間で満額の投資が可能ですが、つみたてNISAでは20年間必要です。

B. 非課税期間

NISAの非課税期間は5年間、つみたてNISAの非課税期間は20年間です。途中で売却すると非課税期間は終わってしまいます。長い非課税期間は魅力的ですが、逆に考えると、非課税期間を最大限活用するためには、その期間は資産を売却しない方が良いことになります。

C. 拠出の仕方

つみたてNISAでは名前の通り毎月積立型の手法に限定されています。毎月、決まった日に、決まった金額を投資します。

一方で、NISAは拠出額、タイミングは自由です。もちろんつみたてNISAのように毎月、一定額を投資していくことも可能です。

D. 投資の対象

つみたてNISAでは投資対象が、金融庁の定めた基準をクリアして、登録がされている投資信託のみです。さらにその中から、ご自身がつみたてNISA口座を開いた証券会社で取り扱いがあるものしか投資はできません。

2020年10月22日現在で、SBI証券は164商品、楽天証券では163商品がつみたてNISA枠で購入できます。

一方でNISAでは日本株や海外株式、REIT、投資信託などつみたてNISAと比べると非常に多くの種類の商品に投資が可能です。

3. 投資の自由度はNISAの方が高く、投資の初心者にはつみたてNISAの方が簡単

2つの制度の違いを見てわかるように、後からできた制度であるつみたてNISAは投資の初心者が正しく投資できるように様々な制限があります。これはNISAの施行後、これまで投資をしてきた方々には利用されたけれど、投資をしてこなかった人々を呼び込めなかったという背景があります。どうにかして、一般の投資をしてない方々に「貯蓄から投資」へ促したかったのです。

つみたてNISAでは投資は毎月定額拠出で、金融庁が選抜した投資信託のみから選びます。一度設定してしまえば自動で積立投資がされていきます。投資の手間が少なく、非常にお手軽な上、長期・分散・積立投資という、資産形成の王道の手法を強制的にとらされることになります。投資に失敗しにくい仕組みです。

一方で、NISAでは売買のタイミングや、投資対象など、多くが自由です。自由である分、自身で長期・分散・積立投資を実施する必要があり、投資家には投資リテラシーが求められます。実際には、つみたてNISAと同じように、毎月定額で積立投資を行うことを推奨しています。

4. ライフプランから考える

ポイントはどんなお金なのか、いつ頃、何に使うためのお金なのかということです。

資産形成の目的には完全な余剰資金、子供の学費、老後の資金、家や車を購入するための資金、病気や事故への備など、様々なパターンが考えられます。ご自身の場合にはどうでしょうか?これらを使う時期別に大きく4つに分けてみます。

  • 使う時期が不明:完全な余剰資金、病気や事故などへの備え
  • 4〜5年以内に使う:家や車の購入資金、子供の教育費
  • 20年以内に使う:家や車の購入資金、子供の教育費
  • 60歳以降に使う:老後の資金(生活費、子供や孫への支援など)

A. 使う時期が不明な場合

使う時期が不明な場合は、いくらくらいずつ拠出できるかを理由に決めて良いでしょう。拠出できる金額が一番ボトルネックになりがちです。

毎年120万円の拠出が可能であればNISAですし、40万円の拠出であればつみたてNISAです。ただし、将来的(10年以内くらい)により多くを拠出できるようになる見通しがあるのであれば、NISAでも良くなります。

あまり投資に手間をかけたくないという場合はつみたてNISAが良いでしょう。

B. 4〜5年以内に使う場合

あまり投資に資金を回すのはおすすめできません。現金で持っておきましょう。リーマンショッククラスの大きな相場変動があった場合に、投資金額が回復せず、必要なお金が足りなくなる可能性もあります。また、時間をかければ元に戻る可能性があっても、損切りをして現金化しなければなりません。

C. 20年以内に使う場合

20年以内に使う目的の資金であればNISAの方が魅力的です。つみたてNISAでは非課税期間である20年間を使いきれないためです。

また、10年後に使う目的がある場合を考えてみましょう。NISAでは満額の600万円の投資が5年目で完了していますが、つみたてNISAでは400万円の投資が終わったところです。使う目的の金額に到達しているかどうかがポイントになります。投資シミュレーターなどを使って、いくらくらいに増えるのか確認してみましょう。

D. 60歳以降に使う場合

現在の年齢によってどちらの制度が良いか変わってきます。現在の年齢が若ければ若い(50代まで)ほど、好みや拠出できる金額で決めて良いでしょう。

ただし、つみたてNISAを選ぶ場合はより税制優遇される確定拠出年金(企業型、iDeCo)を満額やっているかを確認しましょう。

お勤めの企業がマッチング拠出をやっている場合は、拠出額を最大にしましょう。また、これまでお勤めの企業が企業型確定拠出年金をやっている場合、iDeCoはできませんでしたが、法改正により今後可能になります。

60代以降の方は、NISAの方が魅力的な方が多いのではないでしょうか。例えば、60歳で退職金を一括で受け取り、その一部を運用にまわすとしましょう。つみたてNISAの場合だと、満額投資が完了するのは20年後で80歳になってしまいます。NISAであれば5年間で満額の600万円の投資を完了し、その後は増えた分を取り崩しながら元本はいざという時のためにとっておくといったことも可能です。

20代〜50代:どちらでもいい。ただし、確定拠出年金の拠出額を満額にしてから。

60代〜:NISAが魅力的な人が多いと思われる

5. まとめ

NISAとつみたてNISAを選ぶ際のポイントは、投資に拠出できる額、投資したお金をいつ使うのか、投資に対するスタンスなどから大体決まってくるのがわかりましたでしょうか。

使える人だけが得をする制度ですので、積極的に活用していきましょう。

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